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18. マスタリングする - Cubase

Mastering the mixed down audio

[所要時間の目安:60分]
〔初回掲載(暫定公開): 2024.12.1、最終更新: 2024.12.1

「マスタリングで何をするか?」には様々な意見があり、難しい問題です。
このガイドではピークを-6dB程度におさえて作成した2mixを、SNSへのアップロードを想定して、ラウドネス値を-14.0~13.5LUFS程度まで引き上げる作業をマスタリングとして行うことにします。


(1) テンプレートからプロジェクトを作る
(2) プロジェクトの設定
(3) マスタリングの実施
    A. マスタリングの準備
    B. プラグインの設定
    C. 書き出し(オーディオミックスダウン)の実施
    D. 注意事項
(4) マスタリング結果の確認
(5) マスタリングの実施(2回目)
(6) マスタリングの実施(3回目)
(7) 作業後のファイルの所在

Cubase 13 から変更されていない画面については「Cubase 13 操作ガイド」の画像を流用しています。



(1) テンプレートからプロジェクトを作る

Cubaseにはあらかじめマスタリング用プロジェクトのテンプレートが入っています。ここではそれをそのまま使うことにします。

  • Hubでマスタリングを選びます①
  • 既定の場所を使用を選び②、プロジェクトフォルダー名を入力します③。"20240602_mastering"としておきます
  • テンプレートのメンバーを選択状態にし④て、作成⑤をクリックします
Hub


こんな感じでプロジェクトが開きます。

プロジェクト


Cubase 13の頃と違い、プラグインがいろいろと刺さっています。
ノートパッドには用途別のラウドネス値の参考値などが書かれています。

プロジェクトの内容


ここでプロジェクトに名前を付けて一旦保存しておきます。

プロジェクトを保管


(2) プロジェクトの設定

このガイドでは2mixと同じサンプリング周波数、ビット深度でファイルを書き出すことにします。あらかじめプロジェクトの設定もそれに合わせておくことにします。

  • ウインドウレイアウト①を開き、「ステータスライン」と「オーバービュー」②を表示するようにします
  • 「録音形式」③のところをクリックしてプロジェクト設定画面を開きます
  • サンプリングレートとビット解像度をそれぞれ48kHz、24bit④に設定します
サンプリングファクター


  • "Stereo Master"トラックを選択状態①にします
  • 2mixのオーディオファイル②③④を読み込みます
2mixを読み込む


2mixとCubaseの小節位置は合っていないので、マスタリングでは「小節/拍」を意識しないことにします。時間表示の基準を「秒」に設定します。

  • プロジェクト設定を開きます①
  • プロジェクトタイムディスプレイの表示の単位を「秒」に変更します②
  • ルーラーなどの表示単位が「秒」に変わります③
表示単位の変更


(3) マスタリングの実施

A. マスタリングの準備

2mix中の音量が一番上がるあたりを聴きながら各種の設定を行うことにします。

  • ツールを範囲選択に持ち替え①、音量が一番上がるあたりをドラッグして選択状態にします②
  • [P]を押して左右ロケーターを範囲選択の両端に設定します
  • サイクル再生状態にします③
  • このテンプレートには SupaerVision が刺さっています。スペースもあることだし、画面を出しておいても良いかと思います④⑤。
マスタリングの設定


B. プラグインの設定

このテンプレートにはプラグインがたくさん刺さっているため、入り口と出口のプラグインの設定のみを弄ることにします。

一番最初のプラグイン Frequency の設定

  • 「A. マスタリングの準備」の設定によって、この時点では楽曲のもっとも音量の大きい近辺を繰り返し再生している状態だと思います
  • 一番最初に刺さっている刺さっているプラグイン:Frequency を開きます①
  • メーターが 0dB ②を超えない程度にOUTPUTを調整します③
プラグインの設定画面を開く


一番最後のプラグイン: Riser の設定

  • 一番最後のプラグイン: Riser を開きます①
    Riser はリミッターです。スタインバーグ社は「オーディオ素材のラウドネスを大幅に上げられる多機能なリミッタープラグインです」と説明しています
  • 音に問題を感じなければそのまま。つぶれすぎで詰まった感じがしたらゲインを下げます②
リミッターの設定


C. 書き出し(オーディオミックスダウン)の実施

ここまでの設定で一旦書き出してみます。

  • ツールをオブジェクト選択に持ち替え①、2mixのオーディオイベントを選択状態にします②
  • [P]を押して左右ロケーターを2mixの両端に設定します
    これが書き出しの範囲になります
  • ファイルメニューからオーディオミックスダウンを開きます③
オーディオミックスダウンを開く


  • 書き出し元はStereo Outです①
  • ファイル名は"20240602_mastering-01"としておきます②
  • ファイル形式を③のように設定します
  • 「オーディオトラックを作成」を指定します④
オーディオミックスダウンの設定


D. 注意事項

  • オーディオミックスダウンが終了するとオーディオトラックが作成されます
  • そのため、そのまま再生すると二重に再生されることになります。書き出し結果を試聴する場合には 2mix をミュートする必要があります②
オーディオミックスダウンの後


(4) マスタリング結果の確認

マスタリングの結果を解析してみます。

  • オーディオミックスダウンで作成されたオーディオイベントを選択します①
  • Audioメニューの「解析」を実行します②
  • 解析結果が表示されます③
解析


主なポイントはピークとIntegrated Lodnessです。

  • True Peakが -1dB を下回っているので、もう少し全体の音量を上げる余地があります①
  • Integrated Lodnessは -15.9 LUFS②なので、SNSに上げることを前提とするともう少し音圧を上げたいところです
    ビックリマークは無視して良いです
解析のポイント


【関連情報】

(5) マスタリングの実施(2回目)

2回目のマスタリングを行います。

  • 1回目のマスタリング時のオーディオイベントをミュートします①。トラックのミュートでも良いですが、こちらの方がミュートを誤解除を避けられます
  • 2mixトラックがミュートされていないことを確認ます②
再マスタリングの準備


プラグインの設定を変更します。

  • Riser を開きます
  • GAIN を 1dB 上げます。これは入力音声を上げるものです②
  • CELINGを-0.3dBまで上げてみます。これは最大出力レベルです①
プラグインの調整


オーディオミックスダウンを再実行します。

  • ファイル名は"20240602_mastering-02"とします①
再マスタリングの実行


  • オーディオミックスダウンを再実行した結果を解析してみます
  • 右のTrue Peakがまだ-0.30dBくらいまで上がりました①
  • Integrated Lodnessはもう少し上げたいところです②
再マスタリング結果の解析


(6) マスタリングの実施(3回目)

3回目のマスタリングを行います。

  • 2回目のマスタリング時のオーディオイベントをミュートします①
  • 2mixトラックがミュートされていないことを確認ます②
再マスタリングの準備


  • Riser を開きます
  • GAIN を 3dB まで一気に上げてみます①
3回目のマスタリング設定


  • オーディオミックスダウンを再々実行します。ファイル名は"20240602_mastering-03"とします①
再マスタリングの実行


  • 結果を解析してみます
  • True Peakは 0.3dB の余裕を残したままです①
  • Integrated Lodnessは -13.7LUFSまで上がりました。これで良しとします②
再マスタリング結果の解析


(7) 作業後のファイルの所在

  • プロジェクトを保存して閉じ、Hubを「最近の作業」にもどしておきます①
  • プロジェクトは②のように表示されます
作業後のHub


  • 完成したマスタリングのファイルはプロジェクトフォルダー内のMixdownフォルダーにあります②
  • これはオーディオミックスダウン時に設定されていたところです①
マスタリング済みファイル