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15. ミックスする - Cubase

Mixing

[所要時間の目安:120分]
〔初回掲載(暫定公開): 2024.5.29、最終更新: 2024.6.9

いわゆる"2MIX"を作るためのミキシングを行います。 オケとボーカルをまぜてモニタリングしている時点ですでにある程度のミックスは行われているわけですが、ここでは鑑賞する音楽作品としての体裁を整えていきます。
打ち込みトラックもオーディオ化したうえでミックスするケースが多いと思いますが、このガイドではインストゥルメントトラックのままでミックスを行うことにします。


(1) 作業前の状況整理
    A. MixConsoleウィンドウ
    B. 音声の流れ
(2) 各トラックの音量と定位の調整
    A. どの部分を基準にするか?
    B. 音量調整
    C. 左右位置調整
(3) ドラムをバスにまとめてコンプレッサーに通す
(4) ストリングス、パッドなどをバスにまとめてEQで低域をカットする
(5) エフェクトセンド用のFXチャンネルトラックを作り、各トラックからの送り量を個別に調整する
(6) モノラルのボーカルに空間系エフェクトを掛ける
(7) ステレオトラックを聴感的にモノラルにするには
(8) 全体をコンプレッサーに通す
(9) リファレンス音源との比較
(10) 設定結果
(11) ここまでで使った機能のまとめ


(1) 作業前の状況整理

実際には打ち込みが終わった段階で各トラックの音量や定位(左右位置)の設定はある程度は済んでいると思います。
エフェクトプラグインも刺さっているかもしれませんが、本ガイドの展開上、まだなにも刺さっていないことを想定することにします。

なお、ミキシングに先立ち不要なトラックは隠しておきます。

  • Visibility@のチェックを外すとA非表示にできます
プロジェクトウィンドウ


A. MixConsoleウィンドウ

MixConsoleも同様に不要なトラックを隠しておきます。

  • スタジオメニューからMixConsoleを開きます@。[F3]キーでも開閉できます
  • VisibilityAのェックを外すとB非表示にできます
MixConsole


B. 音声の流れ

この時点での音声の流れを示します

音性の流れ


(2) 各トラックの音量と定位の調整

A. どの部分を基準にするか?

このガイドでは曲のなかで一番音量が上がるところ、なるべくたくさんのトラックが鳴ってるところを基準にして各種の設定を行います。
各種設定は画面はチャンネル設定、MixConsole(下ゾーン、ウィンドウ)、インスペクターの左の「チャンネル」のいずれでも可能ですが、ここでは基本的にはチャンネル設定で行うことにします。

  • トラック(キック)を選択し@、インスペクターのトラック名右隣の[e]Aでチャンネル設定を開きます
  • 周波数分布(スペクトラム)がわかりやすいようにEQBを選んでおきます
  • 本ガイドではチャンネルストリップCは使わないこととします
チャンネル設定


B. 音量調整

トラックの音量をどう設定するかは難しい問題です。「キックを-10dbに設定する」という考え方があるようなのでこのガイドでもそれにならうことにします。

  • プロジェクトを再生しながらレベルメーターのピークを見ます@
  • ピークがおよそ-10dBになるようにフェーダーを調整しますA
  • ピーク値@はホールドされたままになるのでフェーダーを動かす都度クリックしてリセットします
音量調整:キック


つぎはベースのレベルを調整します。これは数値ではなくキックの音量を基準にして耳で判断してフェーダーを調整します。

  • キックを聴きながらベースの音量を調整します@
  • なお、操作の過程でチャンネル設定パネルがいちいち隠れて操作しにくい場合は適当な余白を右クリックしてA「常に前面に表示」Bにチェックを入れておきます
音量調整:ベース


  • 残りのトラックの音量を調整していきます@A
  • フェーダーで調整しきれない場合はプリゲインBを併用することもできます
音量調整:スネア


画像は全トラックのボリューム調整を終えた状態です。

音量調整:全体


C. 左右位置調整

次に音像の左右位置(パン)を調整していきます。

  • 画像はタンバリン@を左に寄せた状態ですA
タンバリン


HALion Sonic の出力は基本的にはステレオです。ステレオトラックの音像を自由に左右位置に配置するためにはパンのモードをステレオコンバインパンナー (Stereo Combined Panner)に切り替えます。
デフォルトはステレオバランスパンナー (Stereo Balance Panner)です。

  • トラックを選びます@
  • パンのところを右クリックAしてステレオコンバインパンナーBを選びます
コンバインパン


画像は全トラックのパン調整を終えた状態です。

パン全体


(3) ドラムをバスにまとめてコンプレッサーに通す

「ドラムはバスにまとめてコンプレッサーなどを掛けるとまとまりが出る」という意見があるようです。
このガイドでもそれを踏襲してみます。

ここでは音声の流れを下図のように変更します。

音性の流れ


  • ドラムのトラックを選択状態にします@
    ([Ctrl]まはた[Shift]を押しながらクリックすると複数選択できます)
  • 任意のトラック上で右クリックAして「選択チャンネルにグループチャンネル..」を選びますBC
  • グループ名は「@DRUMS」にしておきますD
ドラムグループ


  • @DRUMSのインサートスロット@にCompressorAを挿します
  • CompressorBのパラメータを設定します
ドラムグループにコンプレッサーを挿す


(4) ストリングス、パッドなどをバスにまとめてEQで低域をカットする

ドラムと同様にストリングス、パッド系のトラックをグループにまとめてます。ここではEQを挿してみます。

ここでは音声の流れを下図のように変更します。

音性の流れ


  • ストリングス、パッド系のトラックを選択状態にします@
    ([Ctrl]まはた[Shift]を押しながらクリックすると複数選択できます)
  • 任意のトラック上で右クリックAして「選択チャンネルにグループチャンネル..」を選びますBC
  • グループ名は「@STRINGS」にしておきますD
ストリングスグループ


  • @STRINGSのインサートスロット@にStudioEQAを挿します
  • 他のトラックの音がうるさい場合はSoloボタンで@STRINGSを単独で鳴らせますA
  • StudioEQBのパラメータを設定します
ストリングスにEQを挿す


(5) エフェクトセンド用のFXチャンネルトラックを作り、各トラックからの送り量を個別に調整する

一部のトラックにセンドでリバーブ掛けてみます。

ここでは音声の流れを下図のように変更します。

音性の流れ


  • リバーブを掛けたいトラックを選択します@
  • 任意のトラック上で右クリックAして「選択チャンネルにFXチャンネル..」を選びますBC
  • チャンネル名は「FX@ROOM」としておきますD
FXチャンネルトラックを作る


  • FX@ROOMのインサートスロット@にRoomWorksを挿します
  • RoomWorksの「WET ONLY」を必ずオンにしますA
FXチャンネルトラックを作る


リバーブの掛かり方は楽器によって変わってきます。そのため多くの場合、トラックごとに送り量を調整する必要があります。

  • MixConsoleを開きます
  • Sendsが閉じている場合はクリックして展開します@
  • トラック毎に送り量を調整しますA
センド量調整


(6) モノラルのボーカルに空間系エフェクトを掛ける

ここではモノラルトラックにステレオ空間系エフェクトをインサートしてみます。

  • ボーカルトラックを選択してチャンネル設定を開きます@
  • インサートスロットにエフェクターを挿しますA
  • 試行錯誤の結果、Vocal Chainを使用することにしますB
  • Vocal Chainはステレオの空間効果を含みますが、このボーカルトラックはモノラルなので音像は左右に広がりません
  • [〇]Cはモノラルであることを示します。これCをクリックすると波形はそのままにチャンネルだけをステレオに変更できますD
  • 変更後はステレオを示す[〇〇]に変わります
ボーカルに空間系エフェクトを掛ける


(7) ステレオトラックを聴感的にモノラルにするには

HALion Sonic の出力は基本的にはステレオです。オーディオトラックの場合は前節の方法で簡単にステレオ→モノラル変換ができますが、この機能はインストゥルメントトラックでは使えません。
そこでステレオトラックの左右広がりを調整する方法をひとつ紹介します。StereoEnhancerを使う方法です。

  • モノラル(横に広がりがなく、中央に定位する)で聴こえるようにしたいトラックにStereoEnhancerを挿します@
  • 初期状態@では聴感的な変化はありません
  • リング部分Bを絞ると左右の広がりが狭まります(逆に回すと広がりが出ます)
  • %表示の下の[MONO]をオンCにすると%の表示に関わらず聞こえ方がモノラルになります
聴感的にモノラルにする


(8) 全体をコンプレッサーに通す

作成したトラック全体にコンプレッサーなどを挿したい場合、Stereo Outに挿すと読みこんだインストや耳コピ元音源にもかかってしまいます。
そこでここでは打ち込みトラックや録音したボーカルをStereo Outに出力する前に一つグループを挟み、そこにコンプレッサーを挿すことにします。

ここでは音声の流れを下図のように変更します。

音性の流れ


  • MixConsoleを開き"Stereo Out"に出力しているトラックを選択状態します@
  • 二つ目以降は[Ctrl]を押しながらクリックAすると複数選択できます
トラック選択


  • プロジェクト画面に戻ります
  • 選択されているトラック@の上で右クリックしてグループチャンネルトラックを作成しますA
  • 名前は"@MIX"Bとします
グループチャンネルトラックを追加


  • @MIXのインサートスロットに"Compressor"を挿します@A
コンンプレッサーを挿す


(9) リファレンス音源との比較

耳コピをしている場合は、本物に似せるために元音源とスペクトラムを比較したい場合があります。Cubaseは自トラックと別のトラックのスペクトラムを重ねて表示できます。

  • @MIXを選び@チャンネル設定を開きます
  • Aをクリックして元音源のトラックを選びますAB
  • スペクトラムが重ねて表示されるのでC、必要に応じてEQで周波数成分を調整しますD
スぺクトラム比較


(10) 設定結果

最後にこの章での設定結果を示しておきます。
実際にはもっとたくさんのプラグインを挿すことになると思います。

MixConsoleのインサートスロット


MixConsoleのセンド


音声の流れを示します。

音性の流れ