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11. ボーカルのピッチとタイミングを補正する(VariAudio) - Cubase

Correcting vocal pitch and timing (VariAudio)

[所要時間の目安:60分]
〔初回掲載(暫定公開): 2024.5.19、最終更新: 2024.6.7

Cubaseの機能であるVariAudioを使ってボーカルのピッチとタイミングを補正してみます。
VariAudioはピッチタとイミング補正の様々な方法を提供していますが、ここではビギナーに優しそうな機能に限定して解説します。
それでも初心者向けとは言い難い内容ではありますが、様々な要素を含む内容なので、勉強がてら遊んでみるといった感じで取り組んでみてはどうかと思います。


(1) 元に戻せなくなった場合に備えて
(2) VariAudioのアクティベートと設定
    【背景色の変更】
(3) モニター方法と試聴(Audition)について
(4) ピッチの補正
    A. ピッチのずれ具合の情報
    B. ピッチ補正の方法:ピッチクオンタイズと戻し(or 部分戻し)
    C. ピッチ補正の方法:セグメントを上下にドラッグ
    D. ピッチ補正の方法:カーソルキー
    【巻き戻し/早送りで再生を止めない設定】
    E. その他の補正方
(5) タイミングの補正
    A. 開始位置と終了位置の移動
    B. オーディオクオンタイズと戻しについて
(6) VariAudioでの補正のバイパス
(7) 補正の取り消し
(8) 補正の結果の恒久化(フリーズ)


(1) 元に戻せなくなった場合に備えて

Cubaseの編集操作は基本的には元に戻せるし、変更前のデータは多くの場合に残っています。
でも元に戻すのは面倒な場合もあります。
そこでこのガイドではボーカルの録音データを複製し、それに対して補正を行うことにします。複製にもいくつかの方法がありますが、ここではインプレイスレンダリングを使うことにします。

このガイドを最初から実践されている方は下記の節ですでにインプレイスレンダリングを使っています
『7. 耳コピの元音源のオケとボーカルを分離する』- 『(2) オケとボーカルを個別にオーディオトラック化する』
  • 対象トラックを選択します①
  • 対象イベントを選択します②
  • インプレイスレンダリングを選び③、設定します④
  • 選択していたトラックの下にトラックが追加され、イベントがレンダリングされます⑤
ボーカルをレンダリング


【関連情報】

(2) VariAudioのアクティベートと設定

VariAudioのアクティベートといくつかの設定を行います。

このガイドを最初から実践されている方は下記の節ですでにコードトラックを作っているので、コードトラックをあてにしてVariAudioを使うことができます
『6. 読み込んだインストや耳コピの元音源からコードトラックを作る』
  • 対象イベントをダブルクリック①してサンプルエディターを開きます
  • インスペクターを表示させます②
サンプルエディターを開く


  • VariAudioをオンにします①。これを行うと画面にカラフルな横棒が生成されます
  • ピッチスナップモードを「絶対」に設定します②
  • コードトラックを作成済みの場合はコードトラックを使ったスケールアシスタントの利用が可能です
    このガイドを最初から実践していた場合はコードトラックを作っていると思うので、画像のように設定します③
  • ウィンドウレイアウトの設定を開き④、⑤のように設定します
  • 画面サイズも適当に大きくしておきます⑥
  • 画面のスクロールは⑦で調整できます
サンプルエディターの設定


【背景色の変更】

スケールアシスタントのスケールノートガイドが見にくいのでエディターの背景色を変更することにします。
この変更はキーエディターにも適用されます。

  • 環境設定①の「全体カラー」選びます②
  • エディターエリアの背景を選び③、白い適当なところ④をクリックします
  • OK⑤⑥を返すとクリックした色が背景色に適用されます
【背景色の変更】


  • トランスポートパネルを開き①、適当な位置に配置しておきます②
トランスポートパネルを開く


(3) モニター方法と試聴(Audition)について

  • ①をオンにしておけばイベントを動かす都度音が出るようになります
  • ②は試聴ボタンです。試聴ボタンで再生すると画面上のイベントだけが再生されます。イベントを選択している場合はそのイベントだけを試聴できます
  • ③をオンにしておけばループしながら試聴できます
  • 試聴時の音量は④で調整できます
試聴


  • VariAudioの編集中は前述の試聴と通常の再生②を併用すると便利です
  • ①をオンにすれば画面上のイベントをソロで再生できます。メトロノームクリックのオン/オフも可能です
モニタリング


(4) ピッチの補正

VariAudioをオンにしたときに表示されるカラフルな横棒をセグメントと呼び、これが編集の主な要素となります。

A. ピッチのずれ具合の情報

  • 何か適当なセグメントを選びます①
  • 情報ラインに「現在のピッチ」②と「元のピッチ」③が基準となる音名とズレがパーセンテージで表示されます
  • ピッチを補正すると②が変動することになります
ピッチのずれ具合


B. ピッチ補正の方法:ピッチクオンタイズと戻し(or 部分戻し)

  • ピッチ補正の方法の一つに「ピッチクオンタイズ」①があります
  • 補正結果は「機能の選択」②の「ピッチの変更をリセット」で戻せます
  • ピッチクオンタイズと同リセットは選択中セグメントに限定して掛けることができます
ピッチクオンタイズ


C. ピッチ補正の方法:セグメントを上下にドラッグ

  • セグメントの上の方を上下にドラッグ①すればピッチを補正できます
    (セグメントの下の方をクリックすると分割されてしまうので注意)
  • 補正結果は②に表示されます
  • ピッチスナップモードを「オフ」③にすれば細かい補正が可能です
  • 補正結果はピッチクオンタイズと同様に「機能を選択」から戻せます④
  • 「あ、間違えた!」という場合のように直前の操作だけを即取り消す場合はUnDo[Ctrl]+[Z]したほうが確実のようです
マウスドラッグ


D. ピッチ補正の方法:カーソルキー

  • 左右カーソルキーで対象セグメントを選択①し、上下カーソルキーでピッチを補正する②ことが可能です
  • この場合のピッチスナップモードは「絶対」③が良いかと思います
  • このやり方はサイクルモードで再生しながらの操作がおススメです④
カーソルキー


【巻き戻し/早送りで再生を止めない設定】

この場合に早送り テンキー[+] と巻き戻し テンキー[-]を多用するといちいち再生が止まるのが煩わしく感じるかもしれません。
環境設定で①のチェックをはずせばいちいち止まらなくなります。

リワインドで止めない設定


E. その他の補正方法

他にも下記の補正方法がありますが、このガイドでは割愛します。

  • ピッチ補正の方法:スマートコントロール
  • ピッチ補正の方法:インスペクター
  • ピッチ補正の方法:MIDI鍵盤、同ステップ


(5) タイミングの補正

A. 開始位置と終了位置の移動

  • VariAudioでのタイミング補正は①と②を左右にドラッグすることで行います
  • セグメント上の四角いポイントをスマートコントロールと呼びます
  • タイミングの補正はAudioWarpの仕組みを使って行われます。そのため⑤のインジケーターが点きます
  • 補正結果は「機能を選択」から戻せます④
  • 「あ、間違えた!」という場合のように直前の操作だけを即取り消す場合はUnDo[Ctrl]+[Z]したほうが確実のようです
  • また、「機能を選択」内のリセットで戻せない場合はAudioWarpセクションでの「リセット」で戻せる場合があるようです。→「(7) 補正の取り消し
    ただし、部分リセットではない点に注意が必要です
スマートコントロール


B. オーディオクオンタイズと戻しについて

Cubaseでのタイミング補正の手段としオーディオのクオンタイズがありますが、これを行うとスマートコントロールでのタイミング補正がやりにくくなります。
不慣れなうちはオーディオクオンタイズはVariAudioと併用しないほうが良いと思います

  • ①をクリックしてオーディオクオンタイズを使用可能にします
  • ツールバーにボタンがない場合は「ツールバーの設定」で「クオンタイズ」にチェックを入れます②
  • 「Q」キーでクオンタイズがかかります。ワープタブ③がたくさん作成され、これがスマートコントロールによるタイミング補正の邪魔になります
  • ④でクオンタイズを取り消すことができます
  • 繰り返しになりますが、不慣れなうちはオーディオクオンタイズはVariAudioと併用しないほうが良いと思います
オーディオクオンタイズ


(6) VariAudioでの補正のバイパス

  • VariAudioでのピッチ補正は一時的にバイパスできます①
  • タイミング補正を行った場合はAudioWarp②のバイパスも必要です
補正のバイパス


(7) 補正の取り消し

  • VariAudioでの補正を全部取り消すには「すべての変更をリセット」①を行います
  • ただし「ワープの変更をリセット」②が残る場合があります
  • 「オーディオを再分析」③でも取り消すことができますが、これを行うとセグメントの再作成から行われるので、セグメントを分割も取り消されてしまいます
補正の取り消し


  • ただし「ワープの変更をリセット」が残る場合はAudioWarpセクションでの「リセット」①で取り消せます②
ワープの取り消し


  • Audioメニューの「オーディオストレッチの取り消し」でも取り消しできるようです
オーディオストレッチの取り消し


(8) 補正の結果の恒久化(フリーズ)

  • 補正結果を恒久化するには「リアルタイム処理を展開する」①を選びます
  • ダイアログにOKを返します②
  • 補正結果が恒久化され、VariAudioがオフになります③
  • 再びVariAudioをオン④にして補正を継続できます
補正の結果の固定