Cubase 13版の初心者向け操作ガイドを暫定公開中です
『Cubase 13 操作ガイド(初心者向けコース)』-『18. マスタリングする』
このページは初心者向けガイド『初めての Cubase 12 で歌ってみたをミックスする』の一部です。
「6.音圧上げてマスタリングっぽいことをする」では、「5.2MIXを書き出す」で作成した2MIXの音圧調整して、完成品としてオーディオファイルに書き出します。 音圧は YouTube にアップロードすることを想定して -13.5
LUFS 前後に調整することとします。
なお、プロジェクトはこの作業のために新たに作成することとします。「5.2MIXを書き出す」までで使用したプロジェクトの中で作業することも可能ですが、音声の流れをシンプルにするためにあえて別プロジェクトとすることにしました。
この記事は以下の内容で構成しています。
〔2022.06.04 新規掲載、2022.06.04 最終更新〕
この作業はプロジェクト名を除いて「1.プロジェクトを作る」と同じです。 プロジェクトフォルダー名とプロジェクトファイル名を "my-project" から "my-project-master" と読み替えて同じ作業を行ってください。
この作業は読み込むファイルを除き「2.カラオケ音源を読み込む」と同じです。
ドラッグ&ドロップは「5.2MIXを書き出す」で書き出した2MIXを使用します。 デスクトップにある "copy_from_cubase"
フォルダーにある MIX01.wav を新しく作ったプロジェクトにドラッグ&ドロップします。
オーディオ解析を使って2MIXのラウドネス値を確認します。
確認するのは主に下記の3つです。
細かい説明は割愛しますが、ピークアンプリチュードとトゥルーピークの両方が0dBを越えなければレベルオーバーによる歪を回避できると考えてよいと思います(トゥルーピークは超えても良いと解釈する場合もあると思います)。
YouTubeなどのSNSでラウドネス規制の対象となる数値は統合ラウドネス(Integrated Loudness)と言われています。諸説ありますが、この値が-13LUFS前後にするのが妥当と言われているようです。
この例ではすでに値が結構大きく、-14.1 LUFS となっています。これを -13.5 LUFS 近辺まで上げてみることにします。ほんの少しですね。なお、ビックリマークは気にしなくて良いです。
ここからは区間ループで再生しながら作業を行っていきます。 例によって、楽曲の中で最も音量が上がりそうなところ(サビの部分など)の約10秒程度を左右ロケーターで挟み、サイクルモードをオンにして再生しながら作業します。
[Ctrl]+テンキーパッド[1] で左ロケーター設定、[Ctrl]+テンキーパッド[2] で右ロケーター設定、テンキーパッド[/] でサイクル
ON/OFF です。
読みこんだ 2MIX のインサートスロット1に Miximizer を挿入します。
Miximizer を画像のように設定します。GR(ゲインリダクション、効き具合ですね)【@】がほんの少しの効き、-1dB 前後になるように OPTIMIZE ダイヤル【A】を調整します。 GR の数値はピークがホールドされるので、ダイヤルを回す都度、数値【@】をクリックしてリセットします。
次のインサートスロットに StudioEQ を挿入します。
周波数分布の動きがリアルタイムで見えるようにスペクトラム【@】をオンにします。
StudioEQ は音を聞いて必要性を感じなければ無設定で構いませんが、せっかくなのでここでは低域【A】と高域【B】を少し落としています。
一番右端の出力レベルのスライダー【D】を若干落としています。これは低域と高域を少し落とした結果、出力レベル【C】が0dBを超えるようになった為の措置です。
ゲインを落としたはずなのに何故上がるのか疑問に思うかもしれませんが、こういうことは起こります。
次に Limiter を挿入します。
左は設定前、右は設定後の状態です。設定前の OUTPUT【@】に 0.3dB の余裕があるので、めいっぱい上げることにします。GR(効き、リミッティング度合いですね)【A】が少し確認できるくらいまでINPUT【B】を上げます。
Cubase Pro にはリアルタイムで表示するラウドネスメーターがあります。右ゾーンのラウドネスタブ【@】を選びます。
音圧の目安となる統合ラウドネス(Integrated Loudness)はここ【A】にも表示されるのですが、Integrated Loudness というのは曲の頭からお尻までの平均値です。 このためこのメーターで測るためには曲を頭からお尻までとおして再生して測定しなければならず、曲の長さ分だけ時間を要します。 そのため、ここではいったん書き出して「解析」でラウドネス値を確認することにします。
MIX01のイベントをクリックして選択状態にして[P]キーを押して左右ロケーターで曲を挟みます【@】。
書き出しは2MIXの時と同様にオーディオミックスダウン【A】で行います。
オーディオミックスダウンのパネルは下のように設定します。2MIXのときとの違いはファイル名だけです。
書き出したMASTER01の状態を確認します。
統合ラウドネス値【↑B】-13.5 LUFS を大きく超えて-9.6 LUFS になってしまったので少し下げる方向で調整します。
再調整、再書き出しの前にMASTER01を削除します。ここは少しややこしいですが大事なところなのでちゃんと押さえておいた方が良いと思います。
プロジェクト画面上からトラック MASTER01 を削除します。トラック名のところ(トラックリストといいます)を右クリック【@】し、「選択トラックを削除」【A】を選びます。
プールというのはプロジェクトフォルダーにある Audio フォルダーのことです。 プロジェクト画面上から MASTER01 を削除しても、物理的なオーディオファイルとファイルの管理情報はプール【@】に残っています。 これを削除するためにプール上から「使用していないメディアを削除」【A、B、C】を行います。ここまで行った時点で Cubase は MASTER01 を存在しないものと扱います。
「使用していないメディアを削除」で行うのはプールの管理情報の削除です。エクスプローラで Audio フォルダーをみると MASTER01.wav がまだ残っています。これはこのままにしておきます。 ほかにも作成した覚えのないファイルがある場合がありますが、Cubase が内部作業用にファイルを書き出すことがあるので気にしないでおきます。下手に削除するとCubase はファイル不整合を警告する場合があります。
ここでは無理な音圧上げは必要なかったものとし、マキシマイザーとイコライザーをバイパス【@】にして通すのをやめて、リミッターの効きだけを若干落とすことにします。
リミッターのパネルを開き【A】、INPUTを-2dBから-1dBに下げます【B】。
リミッティングが効かない範囲で、音量だけを少し持ち上げる設定とします(もともとはINPUTの設定は0dBでした)。
再書き出しを行います。Audioフォルダーに MASTER01.wav を残していたので、指示を求めるダイアログが出ます。 「上書き」を選択します。
あたらしい MASTER01 の状態を確認します。統合ラウドネスが -13.1 LUFS に下がりました。このまま YouTube に上げれば若干音量を下げられると思いますが、もともとムリ音圧を上げていたわけではないのでこれで良しとします。
ここで書き出し結果に満足がいかない場合は必要に応じて別のプラグインを挿すなどして(6)と(7)を繰り返すことになります。
2mixを作った時と同様にプロジェクトフォルダー: my_project_master にある Audioフォルダーからデスクトップあるフォルダー "copy_from_cubase" に MASTER01.wav をコピーします。2MIXの時と同様に「移動」はダメです。 "Audio"フォルダーから無くなってしまうと、Cubase はファイルの不整合を検出してしまいます。
おそらくこの後に YouTube などの SNS にアップロードするための動画を作成することになると思います。その際は "copy_from_cubase"
にある MASTER01.wav を動画作成ソフトにインポートすることになると思います。
動画作成ソフト側で MASTER01.wav の音量をすこし下げて SNS のラウドネス規制を回避するという考え方もあると思います。
プロジェクトを保存して、Cubaseを終了させます。
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