0.意外に多い音声モニター出力の勘違い
意外に多いのがこのケース。パソコンで音楽を再生していた人がDAWで"歌ってみた"や"弾いてみた"を作るためにオーディオI/Fを購入したケースです。マイクなどはオーディオI/Fに繋いでるけど、出力系(モニター系)をパソコンにつないだままにしている場合が結構あるようです。
一部に例外はありますが、オーディオI/Fを使うということは音声の入力、出力ともにオーディオI/Fで一元的に行うということです。ヘッドホンやモニタースピーカーはオーディオI/Fに繋ぐ必要があります。
0.本当に音が出ないのか
Cubaseが音を出せる状態にあることを確認する為の簡単な方法のひとつがメトロノーム・クリックを鳴らしてみることです。ちゃんと鳴ればCubaseのオーディオ環境は問題ありません。
[トランスポート]メニューから[メトロノーム設定]を開き、画像のような設定になっていることを確認して閉じます。 再生ボタンを押してCubaseを動かしてみます。 正常なら「ピッ、ピッ、.....」というようにメトロノームが鳴ります。
- 「ピッ、ピッ、.」と鳴らない → 1.WindowsはオーディオI/Fの接続を認識しているか
- 「ピッ、ピッ、.」と鳴る → 5.オーディオ・トラックの出力バス設定は正しいか
1.WindowsはオーディオI/Fの接続を認識しているか
〔Windows7の例〕
まずはなによりもパソコンのOSがオーディオI/Fが接続されていることを認識している必要があります。 この例で使用しているオーディオI/Fは "Eleven Rack" という製品です。ここに載っていなければ当節以降の確認はムダです。お使いのオーディオI/Fのオペレーションマニュアルを参照し、導入手順を確認してください。
2.WindowsはオーディオI/Fをどのように認識しているか
〔Windows7の場合〕
WindowsがオーディオI/Fを認識しているのなら、コントロール・パネルにも表示されているはずです。 ここで確認しておきたいのはWindowsがオーディオI/Fを「既定のデバイス」と認識しているのかという点です。
「既定のデバイス」でなければならないというわけではありません。 むしろ「既定のデバイス」でないほうが良い場合が多いと思います。 Cubaseと競合してしまう場合があるためです。 当節以降の確認で問題が生じた場合は「既定のデバイス」を外してみたほうが良いかもしれません。
〔Windows10の場合〕
WindowsがオーディオI/Fを認識しているのなら、コントロール・パネルにも表示されているはずです。 ここで確認しておきたいのはWindowsがオーディオI/Fをスピーカなどの出力デバイスの選択肢として認識しているのかという点です。
画像ではスピーカの出力デバイスとしてCubaseで利用するものを選んでいますが、これは別のデバイスを指定したほうが無難な場合が多いと思います。
3.CubaseのVSTオーディオシステム(C11以降は"オーディオシステム")にオーディオI/Fが指定されているか
ここからはCubaseの設定確認です。Windowsのシステム設定に問題がなければ、Cubaseの設定に問題がある可能性があります。
CubaseでどのオーディオI/Fを使用するかはこのVSTオーディオシステム(C11以降は"オーディオシステム")・パネルのASIOドライバーの設定で決まります。ASIOドライバーは使用するオーディオI/Fのメーカーが指定するものを設定します。
3.5.オーディオI/Fの各入出力ポートの状態を確認する
3.にて ASIOドライバーに指定したオーディオI/Fの入出力ポートの状態を確認します。表示欄に[X] が入っていればOKです。この [X] は「ダメ」という意味ではなく、「Cubaseで使用する」という意味です。 空欄のものがあればクリックして[X]にしてください。
3.7 コントロールパネル(スタジオ設定)
下の画像はポート一覧に入力ポート(イン)が無い例です。
オーディオデバイスによってはスタジオ設定から開くコントロールパネルに入出力ポートの使用可否にかかわる設定を持つものがあります。
コントロールパネルの内容はオーディオデバイスによって異なります。詳しくは、ご使用のオーディオデバイスのオペレーションマニュアルを参照してください。
画像にある Generic Low Latency ASIO Driver は Cubase に付属する汎用ドライバーです。
4.Cubaseのオーディオコネクションの「出力」もしくは「Control Room」タブは正しく設定されているか
3.5にて[X]をつけた出力ポート(デバイスポート)のうち、Cubaseで使いたいものをオーディオコネクションの「出力」にバスを定義する必要があります。このバスというのは音声の通り道のことです。 バスに指定する「オーディオデバイス」と「デバイスポート」はその通り道の終点です。
なお、Control Room Mixerを使ってモニタリングする場合は「Control Room」タブだけ定義されていれよく、「出力」タブは未接続のままで構いません。
ここで定義されているバスは、見た目には問題なくても実際には機能していない場合がまれにあるようです。その場合は「出力タブ」、「Control Room」タブの定義を同じ内容で再定義すれば音が出るようになる可能性があります。
(2020-05-13 加筆)
5.オーディオ・トラックの出力バス設定は正しいか
各トラックの音声出力先はインスペクターの出力先(出力バス)の設定で決まります。下の画像では"Stereo Out"に音声を出すように指定されています。
この出力先はオーディオコネクションに出力バスとして定義されている必要があります。
コントロールルームを使ってモニタリングする場合でも"Stereo Out"(「未接続」状態で構いません)が必要です。
(2022-08-17 加筆)
これをMIX Consoleでみると、各トラックのレベルメーターは動いてるのに、Stereo Outのメーターが動かないという感じになります。
上部の"ROUTING"を展開すると二段目のを出力バスがブランク(マウスONすると"No Bus")になっていたりします。出力バスをいったん削除して作り直した場合などにこの状態になることがあります。
この場合は正しいバスに設定すると音が出るようになります。
6.オーディオ・トラックのモニタリングがオンになっていないか
トラック名下のスピーカー・マークのボタンがオンになっていると録音済みの音声ではなく入力音声が出力されます。 録音済みのトラックを再生する場合はこのボタンをオフにする必要があります。
6.5.プラグインに問題があって音が鳴らないケース
プラグインの設定やプラグイン自体に問題(試用期限切れなど)があって音声が途中で途絶える場合もあります。
下の画像は一番最初のプラグイン【@】には音声が来ているが、途中のプラグイン【A】に何らかの問題があり、音が出力されない【B】ケースです。
多くのプラグインには入出力インジケーターがあるので各プラグイン【A】の音声の入出力状況を確認します。
7.各種インジケータの動きはどうなっているか
トラック名右のレベルメーター【@】が上下していればそのトラックは指定された出力バスに音声を送り出しています。 そしてトランスポートパネルのレベルメーター【A】が上下していればCubaseは音声をオーディオI/Fに送り出していると考えてよいと思います。
【上図@】のレベルメーターが上下しているのにトランスポートパネルのレベルメーター【上図A】が上下しない場合は以下を確認します。
オーディオトラックの[e]ボタン【下図@】を押してチャンネル設定パネルを開きます。 [→>]ボタン【A】をオンにすると、そのトラックから最終的なステレオ出力に至る流れ上にある全てのチャンネルのフェーダーが並んで表示されます【B】。これをみればどの段階で音声が途絶えているかがわかります。
問題のありそうなチャンネルの設定パネルを開いて、音量設定に影響がありそうなツマミ類の設定を確認します。各チャンネルの設定パネルは[e]ボタン【C】で開くことができます。
フェーダー【D】が下がりきっていれば後続のチャンネルには渡されません。ゲイン(ゲインはそのトラックの入力音量の調整です)【D】も同じです。インサートしたエフェクター【D】のなかに出力ボリュームを絞り切っているものや何らかの問題で正常に動作していないものがあるかもしれません。
下図一番右端の"Stereo Out"のレベルメーターだけが反応ない場合に、オーディオコネクションにて""Stereo
Out"をいったん削除して、同じ内容で作り直すと音が出るようなったという事例があるようです。
この場合、"StereoOut"に音声を出力するトラックやチャンネルの出力先が"NoBus"になってしまうので、"Stereo
Out"に再設定する必要がある事に注意してください(2020-03-06追記)。