前節で書き出したwavファイルを YouTube 用に音圧調整してみます。
ここではYouTube のラウドネス規制値とトゥルーピーク推奨値を以下のとおりと想定し、この数値に近づける処理を施してみます。
- Integrated Loudness: -14.0 LUFS
- True Peak : -1.0 dBTP
この作業はミキシング(2Mix作成)後のマスタリングをイメージした操作となります。ただし、実際のマスタリングでは音圧調整の他にも色々な調整を行うことになると思います。
- (1) テンプレートからマスタリング用プロジェクトを作る
- (2) 2Mixを読み込む
- (3) ラウドネス値などを測定する
- (4) プラグインを設定する
- (5) マスタリング済音源を書き出し、ラウドネス値などを測定する
- (6) 書き出したwavファイルを別のソフトで再生してみる
(1) テンプレートからマスタリング用プロジェクトを作る
マスタリング用に新しいプロジェクトを作ることにします。せっかくマスタリング用のテンプレートが提供されているので、これを使います。
- テンプレートにあるト"Stereo Mastering"をダブルクリックします【①】
プロジェクトフォルダーの指定
この記事ではCubaseをインストールしたときにドキュメントに作成される「Cubase Projects」フォルダーにプロジェクトを作成します。
Cubaseでは楽曲ごとにプロジェクトフォルダーを作るのが基本です。2Mixを作ったプロジェクトと同じ曲ですが、工程が明確に違うので、新しいプロジェクトフォルダーを作ることにします。
ここではフォルダー名を "日付_mastering" とします。なお、後から出てきますがプロジェクト名も同じ名称とします。
- 新しいフォルダーを作り【①】、名前を "日付_mastering" にします【②】
- フォルダーが"日付_mastering"【③】であることを確認して、フォルダーの選択をクリックします【④】
プロジェクトフォルダーを指定すると、プロジェクトが立ちあがります。
サンプリングレート変更
テンプレートに設定されているプロジェクトの設定を確認し、必要な値に変更します。
- プロジェクト設定を開き【①】、サンプリングレートとビット解像度を2Mixと同じ、48kHz, 24bitに設定します【②】
プロジェクトの保存
このまま作業をすすめられますが、この記事ではこのプロジェクトに名前を付けて一旦保存しす。
プロジェクトフォルダーとプロジェクトファイルは同名である必要はありませんが、この記事では同じ名前、 "日付_mastering" とします。
- 「名前を付けて保存」を選び【①】、プロジェクトフォルダーと同じ名前でプロジェクトファイルを作成します【②③】
(2) 2Mixを読み込む
プロジェクトにはあらかじめ、プラグインが設定されたオーディオトラックが作られています。このトラックに 作成済みの 2Mix を読み込みます。
- 2Mixを Stereo Master にドラッグ&ドロップして読み込みます【①】
- 読み込みオプションが出るので、画像のダイアログの内容でOKを返します【②】
- トラック Stereo Master に2Mixが読み込まれます【③】
(3) ラウドネス値などを測定する
音圧上げの前に、現状を把握するために解析を行います。解析にはCubaseの機能を使います。
- 読み込んだオーディオデータを選択し、解析を行います【①】
- 少し待つと解析結果が表示されます【②】
解析結果について
解析結果のなかで見るべきところをは下の二つです。この2つの値をメモしておきます。
- 統合ラウドネス【①】
- 最大トゥルーピーク【②】
【ご参考】
『Cubaseで作った音源(2mix)のラウドネス値の調べ方』
(4) プラグインを設定する
テンプレートにはマスタリングに使いそうなプラグインがいくつか刺さっています。
各々のプラグインをどう設定するかは音の好みや2Mixの状態に依存します。このガイドはマスタリングのノウハウを示すものではないので、ラウドネス値の調整のみを行うことにします。
ここでは Cubase に付属する Raiser だけを使います。
Raiser
Raiser は、オーディオ素材のラウドネスを大幅に上げられる多機能なリミッタープラグインです。ソロトラックやフルミックスのなめらかなリミッティングから、パーカッシブな音の多い素材に最適なややアグレッシブなリミッティングまで、幅広く使用できます。
〔出典: Cubase Pro 15 プラグインリファレンス〕
- Stereo Master をソロにします【①】
- Raiser を除くプラグインを Bypass ではなく Off にします ([Atl]を押しながら左端をクリック)【②】
- SuperVision は解析用なのでそのままで構いません
- Raiser にマウスポインターを重ねて "e" をクリック【③】して Raiser のパネルを開きます【④】
Raiser の設定
Raiser のパラメータを設定します。ここで設定するのは暫定値です。結果を見ながら INPUT GAIN の設定を何度も試行することになります。
- 暫定的な設定として INPUT GAINを7.2 dBに設定しておきます【①】
(2Mixのラウドネス(-21.2 LUFS)とYouTubeの規制値の差をとって7.2を算出) - OUTPUT CELINGは-1dBです【②】 (-1.0 dBTP はYouTubeの推奨値)
- 曲を通して聴いてみます【③】。歪があれば限界を越えているので、歪が解消するまで INPUT GAIN 下げることになります
(5) マスタリング済音源を書き出し、ラウドネス値などを測定する
プラグインの設定が決まったら書き出しを行い、書き出し結果を確認します。
- Stereo Master がソロであることを確認ます【①】ソロにしておかないとほかのトラックと音が混じります
- オーディオデータを選択状態にして左右ロケーターを両端に設定します [P], [Shift]+[F]【②】
- オーディオミックスダウンパネルを開きます【③④】
オーディオミックスダウンパネルを設定し、書き出しを行います。 なお、ここでは書き出しと同時に書き出したwavファイルをオーディオトラックに読み込む処理を一度に行います。
- 書き出すファイル名は末尾を通番にし、書き出しの都度+1することにします【①】
- そのほかの設定は画像のとおりとします【②】
- 書き出し後の処理を「オーディオトラックを作成」に変えます【③】
- 書き出しを行います【④】
- 途中で読み込みオプションが出るので【⑤】の設定でOKを返します【⑥】
書き出した(マスタリングした)オーディオデータの音圧上げ結果を確認します。
- 書出したオーディオデータを選択【①】
- 解析を行います【②】
- 書出し結果のインテグレイテッドラウドネス【③】が期待値 -14.0 LUFS 近辺になるまで (4)(5)を繰り返します
書き出す都度、ファイル名の通番を+1することを忘れずに
(6) 書き出したwavファイルを別のソフトで再生してみる
確認のために Cubase 以外のソフトで書き出した wavファイルを再生してみます。
- Cubaseを終了させます
- プロジェクトフォルダー内の "Mixdown" フォルダーに wavファイルがあります【①】
- 書き出した wavファイルをダブルクリックすると何らかの汎用的なプレーヤーソフトで再生が始まると思います【②】
- Cubase で再生したときと同じ音が鳴ってますか?ソフトが違うので音量は違うかもしれません














