5.1 特定のトラックだけにエフェクトをかける(エフェクトのインサート)
エコー(リバーブといいます)などのエフェクトをかける方法には大きく分類してインサート・エフェクトとセンド・エフェクトの二通りあります。
ここでは、インサート・エフェクトとして、WAVファイルを読み込んで作成したドラムのオーディオ・トラックにコンプレッサーを掛けてみます。
(1) トラック設定パネルからコンプレッサーをインサートする
ドラムのオーディオ・トラック(以下、ドラム・トラック)のトラック設定パネルを開き、インサート・エフェクトとしてコンプレッサーを設定します。
ここではコンプレッサーのパラメータ説明が目的ではないので、掛がわかりやすいようにスレッショルド(しきい値)だけを深め(オーバーに)に設定します。
ループ再生しながらバイパス・ボタンやソロ・ボタンを押下すると効果がわかりやすいと思います。
- @ トラック "sample_wav_16-441"のチャンネル設定パネルを開きます
- A インサートのスロットの右をクリックします
- B Dynamicsタブを展開します
- C Compressorを選びます
- D パラメータを設定します(効果がわかりやすいようにオーバーな設定にしています)
- E ソロボタンをオンにするとそのトラックの音だけを聴くことができます
- F コンプレッサーをバイパスすることができます。効果を確認してみてください
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5.2 複数トラックでエフェクトを共有する(エフェクトのセンド)
(1) FXチャンネル・トラックの追加
エフェクターを設定するためのFXチャンネル・トラックの追加します。このトラックにエフェクターをインサートし、各トラックからこのFXチャンネル・トラックにセンドすることになります。
下記パネルで同時にエフェクターを指定することも可能ですが、ここでは一旦空でFXチャンネルを作る事にします。
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(2) FXチャンネル・トラックにリバーブをインサートする
FXチャンネル・トラックのトラック設定パネルを開き、インサート・エフェクトとしてリバーブ(残響、カラオケでいうところのエコーです)を設定します。
ここではリバーブのパラメータ説明が目的ではないので、掛がわかりやすいようにリバーブ・タイムをオーバーに設定します。
また、リバーブのかからない元の音(ドライ)をオフ(wet only)に設定します。FXチャンネル・トラックに元の音が混じっていると、これから設定するセンドする側のトラックの音(ドライ)と二重出力になるためです。
- @ FXチャンネルのチャンネル設定パネルを開きます
- A スロット1の右をクリックしてプラグインリストを開きます
- B Reverbを開きます
- C RoomWorksを選びます
- D RoomWorksの設定パネルのOUTPUTの"WET ONLY"をクリックしてONにします
- E リバーブのパラメータを設定します(ここでは効果がわかりやすいようにオーバーな値を設定しています)
ここまでの設定では再生してもリバーブはかかりません。
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(3) リバーブを掛けたいトラックからFXトラックへセンドを設定する
ここでは先ほどインサート・エフェクトを設定した、WAVファイルを読み込んで作成したドラムのオーディオ・トラックからFXチャンネル・トラックにセンドを設定してみます。
2つのエフェクトを並行にかけることになります。
- @ リバーブをかけたいトラックのチャンネル設定パネルを開きます
- A センド先の一覧を開きます
- B リバーブを設定したチャンネル「FX 1」を選択します
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FXチャンネル・トラックへのセンドを設定したときにセンドがオフ(下図Aのスライダーがグレーの状態)になっている場合があります。その時は下図@を押してオンにしてください。
下図AはFXチェンネルへの送り量です。送り量は左方向が減少右が増加です。「0.00」は送らないという意味ではありません。
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他のオーディオトラックやインストゥルメント・トラックにもセンドを設定してみてください。
(4) MIDIトラックからFXチャンネル・トラックへのセンドについて
MIDIトラックの場合はFXチャンネル・トラックへ直接センドできません。データの形式が大きく異なるからです。インストゥルメント・トラックからはセンドできます。
エフェクターにはMIDI情報専用の特殊なものがあります。MIDIトラックからこれらのMIDIエフェクターへのセンド設定は可能ですが、ここでは割愛します。
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5.3 ミキシング
ここまでで5つのトラックができていると思います。ここではこれら5つの音量バランスと定位(左右位置)を調整します。
- sample_wav_16-441(Audio Track)
- HALion Sonic SE 01(Instruments Track)
- MIDI 01(MIDI Track)
- Audio 01(Audio Track)
- FX 1(FX Channel Track)
(1) 音量バランスと定位(左右位置)の調整
「デバイス」>「MixConsole(X)」とたどってミックス・コンソール画面を開きます【下図@】。オーディオ・トラックとFXチャンネル・トラックはここで調整することにします。
- sample_wav_16-441(Audio Track)【下図A】
- Audio 01(Audio Track)【下図B】
- FX 1(FX Channel Track)【下図C】
この手引きではインストルメント・トラックとMIDIトラックは同じHALion Sonic SEを使用しているので、トラック毎の調整は同ソフトの設定パネルで行います。
- HALion Sonic SE 01(Instruments Track)【下図D】
- MIDI 01(MIDI Track)【下図E】
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5.4 2MIXの書き出し
この手引きの最後として、ミキシング結果をステレオのWAVファイルに書き出してこれをオーディオ・トラック化します。
(1) 書き出し範囲の設定
Cubaseの「ファイル(File)」>「書き出し(Export)」機能は左右ロケーターの間を書き出すようになっています。そのため、最初に左右ロケーターを設定する必要があります。
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(2) オーディオミックスダウンの実施
以下のような設定でミックス結果をオーディオファイルに書きだします。
- Stereo Outに出力される音声を書き出す
- 書き出すファイルの名前は「2MIX」とする
- ファイルを書き出す先はプロジェクト・フォルダー内のAudioフォルダーとする
- ファイル・フォーマットはWAVファイルとする(拡張子.wav)
- サンプリング・レートと量子化ビット数はプロジェクト設定と同じ44.1kHz、16bitとする
- 書き出した後にオーディオ・トラックとして再度Cubaseに取り込む
- @ 「ファイル(File)」>「書き出し(Export)」>「オーディオミックスダウン」のパネルを開きます
- A 書き出し先を「プロジェクトのオーディオフォルダーを使用」に設定します
- B 書き出すファイル名を入力します
- C パラメータを設定します
- D 書き出しを実行します
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(3) 2MIX結果の確認
先の設定では書き出した2MIXをオーディオ・トラック化するため、簡単に視聴することができます。
ミックス元となったトラックと二重になるのでSOLOボタンの押下が必要です。これを押下することによって2MIXだけを試聴することができます。
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(4) 2MIXファイルの取得
先の書き出し設定では2MIXはプロジェクト・フォルダー内のAudioフォルダーに作成されます。
2MIXファイルを取得する場合はここからコピーしてください。移動や削除してしまうとCubase内でファイルの不整合が生じるので、必ずコピーしてください。
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